ページのトップへ

サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

ドン・ボスコからの手紙2024


今年2024年、サレジオ家族は「ドン・ボスコの夢 わたしたちの夢」をテーマに、ドン・ボスコの生涯を決定づけた「9歳の夢」(1824年)から200周年を記念しています。
1月にイタリア・トリノで行われたサレジオ家族霊性週間2024の終わりに、サレジオ家族と若者たちに向けて出された「ドン・ボスコからの手紙」の日本語訳を紹介します。

***************************************************************
愛する家族の皆さん

最愛のわが子たちへ、

ドン・ボスコの夢、わたしたちの夢。ひとつの夢。私の人生を導いたあの9歳の夢。あれから200年が経ち、それは今、皆さんの夢です。私は自分が持っているいちばん貴重なものを皆さんに差し出します。それは天からのもので、神から生まれたすべてのものがそうであるように、死ぬことがありません。私の夢は私の召命であり、使命でした。これこそが私が皆さんに残すもののすべてです。

皆さんが今日、ここにいるのは、皆さんがある使命のために選ばれたからです。私が始めたことを続けるよう、皆さんは呼ばれました。私の夢でもある神の夢のすべてを、今日にあって実現させること。そして、家族として一緒に実現させること。これが、皆さんの召命です。

そこで皆さんにお願いします、立ち上がって出かけてください。もう一度、動き出してください。あきらめずに、立ち止まることなく、動き出しましょう。

聖書で描かれたアブラハムのように、ヨセフとマリアのように、レビ、シモン、アンデレのように。そして、私がそうしたように。

「行きなさい」と神は言われます。私がどこへ行けばよいか教えます。私は皆さんによく言いましたね。「天国で休もう」と。皆さんの行き先が天国でありますように。そして、できるだけ多くの子ども、若者たちと共に、天国へ向かっていきましょう。疲れに打ち勝つ熱意をもちましょう。決して立ち止まってはいけません。

最も気高く、最も美しい真理を信じましょう。創り主である神に、すべてを善へと導いておられる聖霊に、すべての人のうちにおられ、一人ひとりが人生を終えた時に待っておられるキリストの抱擁に信頼しましょう。主は家族のうちにある皆さんを待っておられると信じましょう。

私の9歳の夢で、イエスはマリアを先生として私に紹介されました。先生を信頼してください。手を取っていただきましょう。この先生は、決して皆さんを見捨てません。そして母は、あたたかな炎を絶やすことなく、いつも扉を開けています。

皆さんがどこにいようと、何かを築き上げてください!いつも、自分の足で立ってください。もし横たわってしまっているのなら、立ち上がりましょう!世界はあなたを必要としています!

私の9歳の夢では、どう猛な動物たちが現れましたが、今も私たちの群れは脅かされ、狼が徘徊しています。身体的な暴力、精神的・性的暴力、経済的な暴力、インターネット上の暴力、酷い社会的疎外といった牙が、私たちに襲いかかっているのです。

人々を、一人ひとりを愛しましょう。その人の道が真っすぐであっても、あるいは曲線を描いていても、それぞれの道を尊重することです。なぜなら、すべての人は尊いからです。

泣く人と共に泣きましょう。でも、この世から涙がなくなるよう働いてください。「もう泣かなくともよい」(ルカ7・13)。イエスはナインのやもめに言われました。この世の母親たちに、生きている子どもたちをお返しましょう。

皆さんは愛することによって何かを変え、幸せへ導いていきます。清い愛で愛し、喜びを種まき、行くところどこでも神の恵みを表すものとなってください。人生を無駄にしてはいけません。皆さんの喜びを、この世に広めていきましょう。

無関心から自分を救いましょう。聖書に表れた光の奇跡、生ける水の奇跡、パンの分かち合いの奇跡を味わってください。信仰こそがいつも、人間を人間らしくすることを思い出しましょう。目を注ぎ、学び、耐え忍びながら、神が私たちを見通し導いてくださることを信じましょう。

苦く、暗い考えに入り込むことなく、楽観的であってください。この世は神が行われた最初の奇跡であり、神は新しい奇跡の恵みの数々を皆さんの手の上に置かれたのです。ですから、日常生活で奇跡が起きることを、いつも期待していましょう。

皆さんの心を、貧しさに陥っている実に多くの若者の涙に合わせ、そして、不正義と虐待にしか出会ったことのない人々の怒りに合わせて打ち鳴らしてください。いつ何時も、扉を開けていてください。この世と若者一人ひとりのいのちに責任をもってください。貧しい人へのあらゆる不正義は、神のみ心に開かれた傷であるのだと認識しましょう。

人々の間に平和をもたらしましょう。憎しみや分裂を広める人々の声に耳を傾けてはいけません。皆さんの家庭や修道院に、平和とゆるしがありますように。皆さんは一緒になって、本当の家族、堅固な町、すべての人を包み込む空間、そう、私が若者たちと共に創った平和と喜びの場、オラトリオになるのです。皆さんもオラトリオであってください。

皆さんが出会うすべての若者が、神の前、人々の前で、知恵と年齢、恵みにおいて成長し、新しい人類の主役となりますように。

毎日、神に勇気の賜物を願ってください。皆さん、イエスが私たちのために、恐れに打ち勝たれたことをいつも思い出してください。そして、マリアの武器、つまり、あたたかな優しさをもって、この世を導いてください。教皇フランシスコは次のように勧めています。「イエスは私たちに、闇の中で輝く光をくださいました。それを擁護し、守ってください。その特別な光は、皆さんの人生に託された最高の富なのです」。

何よりも、夢を見ましょう!夢見ることを恐れないでください。夢を見ましょう!確かに、皆さんはまだ見ぬ世界を夢見ていますが、その世界は必ず到来するでしょう。

希望をしっかりともち、被造物を大切にしましょう。希望をもつことで、私たちは、被造物が最終的な完成形まで発展し、神がすべてにおいてすべてとなるに至るということを信じることができるのです。

私たちの夢は、いのちのようです。私たちのすべてなのです。

ですから、それを死なせてはいけません。

さあ、出かけて行って一緒に世界を変えようではありませんか。

ヨハネ・ボスコ神父

 

○英語版 PDF

 

○イタリア語版 PDF