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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ7月:これが愛


総長メッセージ(Bollettino Salesiano 2023年7月)

これが愛

 

これはドン・ボスコによって、単純に、静かに行われた善です。

これは私たちが共に行い続けてゆく善です。

私の友人、『ボレッティーノ・サレジアーノ』の読者の皆さん、

毎月しているように、心からの挨拶を送ります。心が語るに任せてしたためる便りです。この心はドン・ボスコ自身と同じ希望と確信を持ってサレジオの世界を眺め続けることを望んでいます。力を合わせれば、私たちは多くの善を行えるし、なされた善は知られるべきだという希望と確信です。

このメッセージを書く前に、私は今月の『ボレッティーノ・サレジアーノ』の内容をすべて読みました。編集者が出版される前に私のところに送ってくれるので、テーマに沿った内容を考えて書くことができるのです。

今月号の『ボレッティーノ・サレジアーノ』はとても気に入りました。様々な記事が、すべてのサレジオのオラトリオでの日々の献身によって、一人ひとりがどれだけサレジアンとして貴重な証しをしているかを伝えています。小さい子どもたちやティーンエイジャーたち‐そして彼らを元気づける若者たち‐が生き生きと生きる場をみつける、一つひとつの運動場で。そこは、健全な場所、教育の場、生きてゆくこと、生きる意味を教える場、(望むなら)信仰の場なのです。

しかしながら同時に、スーダンに関する話を読みながら、私は痛みと憂慮を感じました。そこではサレジオ会員も含めて誰もが困難な状況のうちに生きています。今日、私はこのメッセージを通して、また一つの美しい証しを分ち合いたいと思います。今回は私が直接目にしたことではありませんが、人から分かち合ってもらったことをお伝えします。

 

ある母親の勇気

舞台となるのはウガンダのパラベクです。5年前、最初の難民たちがそこにたどり着いたとき、私たち、ドン・ボスコのサレジオ会員は、彼らに寄り添うことにしました。私たちの家はテントで、私たちが祈り、最初のミサを捧げたのは木の陰でした。

毎日、何百人もの難民たちがスーダンからパラベクにやって来ます。はじめは南スーダンでの紛争のため、数年たった今では北スーダンの紛争のため、ひきつづき難民がやって来るのです。

私がここに書くことを話してくれたのは総本部の宣教顧問です。彼は先日、すでに何万もの人々が暮らす難民キャンプにある私たちの拠点を、継続的に同伴するため訪れたところでした。

その10日前、一人の女性が11人の少年少女を連れて到着しました。いかなる助けもなく、彼女は一人で子どもたちを連れ、自分や子どもたちにとって危険極まりないいくつもの地域を越えてきたのです。最後の一か月は、700キロ以上も歩くうちに子どもたちの人数も増えました。これこそ私が強調したいことです。これは人間らしさであり、愛です。この女性は世話をする11人の子どもたちとパラベクに着いた時、全員を自分の子どもとして紹介しました。けれども実際には6人がおなかを痛めた子どもで、3人は彼女が引き取ることになった、最近亡くなった兄弟の子どもたち、あとの2人は道中で出会った、全く身よりのない幼い孤児たちでした。孤児たちは、当然身分証明書はありません。生きるために最も必要となるものにも事欠いているのに、身分を証明する書類のことなど、誰が要求できるでしょうか。その子どもたちはこの女性の養子となったのです。

しばしば、「勇気ある母」という呼び名が、命をかけて自分の子どもを守りぬいた母親に与えられます。ですから、私はこの11人の子どもの母親に「勇気ある母」の名を贈りたいと思います。この母親はとりわけ、心の底から、「愛するとはどういうことかをよく知っている」女性です。たぶん彼女は「痛みを覚えるまで」愛し抜く愛を知っているでしょう。11人の子どもたちと極限の窮乏を生き抜き、今も生きているからです。

勇気あるお母さん、ようこそパラベクへ! 私たちサレジオの場にようこそ。間違いなく、彼女の子どもたちは食べ物に欠くことなく、サレジオのオラトリオで遊び、笑い、微笑むことができ、私たちの学校で勉強できるよう、すべて計らわれるでしょう。

これはドン・ボスコによって、単純に、静かに行われた善です。これは私たちが共に行い続けてゆく善です。どうか信じてください。私たちはひとりきりではないと知り、大勢の皆さんが、私たちが人々の善のために毎日行っている努力を受けて入れ、共感してくださると知ることは、私たちに多大な人間的力を与えてくれるのです。そして疑いなく、善き主がそれを成長させてくださるのです。

皆さん、よい夏をお過ごしください。確実に、私たち‐私も含めて‐の夏はパラベクのあのお母さんのそれより穏やかで快適でしょう。でも、彼女と彼女の子どもたちのことを考えることで、私たちはどうにか橋をかけることができたと言えるのではないかと、私は考えています。

皆さんのご多幸を祈ります。

総長アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》

 

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