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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ1月:その若者は私に言いました。「僕はキリストに夢中なんです」。


総長メッセージ(Bollettino Salesiano 2023年1月)

その若者は私に言いました。「僕はキリストに夢中なんです」。

私たちを取り囲む仲間たちを前にして実に打ち解けた調子で、青年がそういう言葉を発するのを聞くのは、何年ぶりだったでしょう。

 

親愛なる友、「ボレッティーノ・サレジアーノ」の読者である皆さん、

新年が始まりました。私たちは2023年に生きています。少なくとも私にとって、それは想像もできない、「銀河的時間」のように感じられます。そうであるかどうかは別として、私たちは確かに21世紀に生きているのです。

今やさまざまな生き方、自己表現の方法、交流の方法は大きく変りました。けれども、経験すること、目にすること、耳にすることで私たちはまだ驚きを感じることができます。

私がこれから皆さんと分ち合おうとすることは、「ドン・ボスコの月」である ― サレジオ会の言い回しではこう言うのです ― 1月の「ボレッティーノ・サレジアーノ」の巻頭言にふさわしいと思われます。数週間前、私はアメリカ合衆国各地のサレジオ会の共同体・事業所を訪問しました。旅の最初のほうで、私はカリフォルニア州ベルフラワーの聖ヨハネ・ボスコ高校を訪ね、数時間を数百人の生徒 ― 聖ドミニコ・サヴィオ中等学校の中学生が高校生たちに加わりました ― と過ごしました。それに続き、高校の45人の生徒と円卓会議をしました。私たちは彼らの個人的なプランや夢について話し合いました。とても楽しく豊かな時間でした。午前中の終りに若者たちと私は中庭で昼食をとりました。私はサンドイッチと水のボトルを持って、4人のサレジオ会員と一緒に外でピクニック用の木のテーブルに席を取りました。私は大勢の若者たちと挨拶を交わしながら昼食時間を過ごしました。若者たちは、テーブルに座っている者も、立っている者もいました。私のテーブルには空席が二つあり、途中で2人の若者がやって来て、一緒に座ることになりました。自然と私は彼らに話しかけ、会話が始まりました。2分も経たないうちに、そのうちのひとりが私に言いました。「質問したいのですが」。私は答えました。「何だい、言ってごらん」。 

その若者は尋ねました。「教皇になるためには何をすればよいのでしょうか。僕は教皇になりたいのです」。

私はほほえんでいましたが、つい驚きを顔に浮かべてしまいました。自分がそれまでそのような質問をされたことがないこと、彼の明確な決意に驚いたことを伝えました。16億ものカトリック信者の中で、教皇になるのはそう容易くはないと彼に言いました。それからこんなことを付け加えました。「ねえ、サレジオ会員になることからスタートできるかもしれないよ」

それに答えて、若者は言いました。「そうですね。いやとは言いません」そしてかなり真剣な表情で言い足しました。「確かなのは、僕はキリストに夢中だということなんですから」。

そのような答えを受けて、私は全くもって驚きましたが、それは心地よい驚きだったと言わねばなりません。私たちを取り囲む仲間たちを前にして(さらに何人かが集まって来ていたからです)実に打ち解けた調子で、青年がそういう言葉を発するのを聞くのは、何年ぶりだったでしょう。

私は彼が心から真剣なのを見て、その返事が気に入ったと告げました。彼が同意するなら、私たちの対話のことを別のときに別のところで話したいということも付け加えました。だからこうして今、私はこの出会いについて書いているのです。

あの瞬間、私の思いはドン・ボスコに向けられました。きっとドン・ボスコはこのような若者との対話を喜んだことでしょう。疑いなく、サヴィオやベズッコ、マゴーネ、ルア、カリエロ、フランチェジアやその他の多くの若者との対話ではこのようなこと、人生で何か素晴らしいことを成し遂げたいという彼らの望みを、たくさん聴いたでしょう。

サレジオ会創立から163年経つ今日も、若者たちが善良であること、彼らが心の中に多くの善の種を持っていることを心底から信じ続けることがどれだけ大切であるかと私は考えました。彼らは寛大さと自己献身を伴う夢や計画を持っています。私たち一人ひとり、ご自分の息子や娘一人ひとりの心に働きかけ善いわざを行われるのは、神であると、信じ続けることはどれほど重要でしょう。

今の時代、私たちは、自分たちに起きていること、経験していることのすべてに対して実用的で効率的な目で見るあまり、自分自身驚き、ほかの人を驚かせる力を失い、さらに気がかりなことに「神に驚嘆」させられなくなっているという、大きな危険をおかしているように思われます。

あの若者はイエスに魅力を感じ、人生の中でイエスこそが生きるための情熱だと言いました。それと同じことが、私たちの多くに、何百万もの人々にも起きていると私は考えます。

「ボレッティーノ・サレジアーノ」の読者であり、ドン・ボスコのカリスマの友である皆さん、どうぞ多くの人が参加するこのグループに入ってください。「単純素朴」だとか「だまされやすい」と捉えられるかもしれませんが、期待すべき多くの良いこと、夢見て願い、自ら取り組むべき多くの素晴らしいことがあると私たちは信じています。

過去にドン・ボスコのときにもそうであったように、今日、何千何万もの若者たちがイエスに会いたいと望み、イエスとの友情を体験することを必要とし、この素晴らしい旅に寄り添ってくれる誰かを求めているのだと思います。

青年たちの聖人、「世界の若者の父、教師」(聖ヨハネ・パウロ2世)であるドン・ボスコの祝日、おめでとうございます!

総長アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》

 

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