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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ4月「パラベクの復活祭」


 

総長メッセージ(”Salesian Bulletin” 2018年4月)

 

パラベクの復活祭

ドン・ボスコがウガンダ、パラベクの難民キャンプにやって来ました。
これは主の復活のよき知らせです。

 親愛なる皆さん、これは本当のことです。ドン・ボスコは彼の息子たちであるサレジオ会員を介してパラベクに着きました。私がこのことを皆さんにお伝えするのは、読んでくださる皆さんが誰であろうと、これほどまでに人間的なニュースを喜んでほしいからなのです。ドン・ボスコの家族であり、彼のカリスマを生きている人なら、このニュースが福音とサレジオの生き方をどれほど語りかけるものであるか、ただちにわかるでしょう。世界中に広がる31の公式グループからなるドン・ボスコのサレジオ家族という大樹によって、子どもと青少年のために行われていることすべてに親近感をもつ人々にも、このニュースは大きく訴えかけます。

 ウガンダ北部全域にはおよそ120万人もの難民が生活していますが、その大半は南スーダンからの人々です。最初の難民は2016年3月にキャンプに来ました。そこはウガンダ北部最大の都市グルから77km、首都のカンパラからは340kmのところにあります。

 その場所のことを知ったサレジオ会アフリカ大湖沼管区の管区長はそこを訪れ、私に報告してくれました。私は宣教部門のあるメンバーに、そこに行き、サレジオ会の拠点を置けないか調べてくれるように頼みました。そこには家を失った子どもたち、青少年がいて、まさにドン・ボスコの息子たちがいるべき場所だからです。彼はそれを実行しました。

 現在、キャンプには36,000人の難民がいて、その86%が女性、子ども、そして大きな数にのぼる10代の少年少女です。高齢者はごくわずかです。私はこの機会に女性たち─そしてキャンプでは大多数が母親なのですが─がとてつもなく大きな苦労と犠牲を負っていることをいまいちど明らかにしたいと思います。その一方で、日々の生活において子どもたちを「救う」のは彼女たちです。私たちはそうした女性や母親たちに深い感謝の意を表します。その場所にいて、この女性たちの息子や娘の世話をできることは、私たちを幸せで満たしてくれます。

 1月31日、サレジオ会員たちはパラベク・キャンプに「幕屋を張り」ました。アラス神父が共同体の中心人物です。彼のほかに3人の会員―すべてが宣教師─がいます。ベネズエラとインドの出身です。9月からそこに加わるために若いアフリカの会員3人が準備しています。

 私たちが巨大な建物を造ってそこに「落ち着いた」のではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、そうではありません。私たちは単に人々の中で、彼らと共に、彼らと同じ生活をすることから始めました。彼らと同様に酷暑と物資不足を耐えるのです。私たちはそこから進んでゆくのです。状況を改善する方法、ことに教育が問われるところでは、子どもたち、青少年を人生に向けて育成する方法を探してゆきます。彼らの大半はクリスチャンなので、私たちは彼らの信仰の旅に寄り添います。

 私たちはスタートの時点から保育園、小学校、職業専門学校、オラトリオ、ユースセンターの必要性を認めました。私たちが今どのように歩みを進めたらよいかを考え、その後で、他の人や組織がどのような形で助けてくれるか、考えましょう。いずれにしても、私たちは手を引いてはならないのです。

 私たちは、これから形作られるさまざまな共同体の典礼を生き生きしたものとするための物的援助を、すでに探し始めています。パラベク・キャンプで生活する36,000人は世界各地の何百もの小さな都市や町の人口をはるかに上回ることを忘れてはいけません。パラベクはまさに、幕屋=テントの中にある、動く町です。私たちは数多くのキリスト者共同体の活動を盛り上げ、寄り添う、カテキスタたちを養成します。それから、さまざまなサレジオのオラトリオのアニメーターとなる青少年を探し出し養成します。幸いなことに人生は続くので、若者たちは喜びと希望で満たされ、毎日を生きる理由をもつ必要があるからです。私たちはまた、学校の教師、職業専門学校の講師をどのようにして育成するかも考えなくてはなりません。このことに関しては、神様のおはからいで私たちは単独で取り組んでいるのではなく、何人かの信徒もこの使命に関わり始めています。

 少しずつではありますが、力を合せれば、家を失った数えきれない人々が尊厳ある生活を送るためにいろいろなことができるのです。私たちは孤立しているわけではなく、ひとたびこのようなニュースを受け取り実状に気づけば、現地に赴いたり、あるいは遠くからでも協力したりしてこの働きに加わりたいと望む、数多くの人々がいることにも気づかされます。

 ですから、私はこのことを皆さんと分ち合い、このメッセージのはじめにドン・ボスコはサレジオ会員たちによってウガンダのパラベクにやって来た、主イエスはパラベクの国を追われた人々の中でも復活なさった、と書いたのです。それは、この世界の「打ち捨てられた人々」(私たちの暴力と悪の行いの結果、「打ち捨てられた人々」)が、今も神から愛されていると感じるためなのです。その神は、大声で私たちに呼びかけておられます、文明の名に唯一ふさわしい人間的な文明を築くために数多くの方法で歩み始めるようにと。この文明は可能で、なおかつ永続するものです。正義とすべての人々の尊厳ある生活を営む権利の上にのみ構築できる、人類の兄弟愛の文明なのです。

 パラベクから笑顔が消えることがありませんように。

 主のご復活、おめでとうございます。

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ

 

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》