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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

EAOボナノッテ 75:困難の中、奉仕の連帯


 

(BoscoLink – 2020年6月2日 ベトナム ホーチミン)
https://www.bosco.link/buonanotte/59732

GOODNIGHT TALK of Fr. Joseph THINH PHUOC SDB – June 2020(YouTube 7:18)
https://youtu.be/4GfolNtTXps

<日本語訳>

兄弟会員の皆さん、サレジオ家族の皆さん、

 3か月以上にわたり、COVID-19の世界的蔓延は、サレジオの事業が存在するあらゆる国で深刻な影響をもたらしています。各国政府やさまざまな組織はこの病気の広がりを制御しようと、また人の命、経済、さまざまな活動に及んだ被害を修復しようと、大きな力を注いでいます。同時に、大きな賢明な努力を払いながら、生活の破綻を避けるため、人々は仕事に戻らなければなりません。特に、若者の生活において、その将来は、教育、仕事、人との社会的関わりといった建設的な要素に大きくかかっています。

 皆さんと一緒に、神に祈ります、この疫病に早く打ち勝つことができますように、そしてサレジオ家族がそれぞれの力に従い、私たちの共同体の再建のために、その貢献を続けることができますように。そうです、心を合わせて祈りつづけましょう、そしてこの再建のためにできることは何でもしましょう。

 しかし、ドン・ボスコのサレジオ会員の皆と共に、私は自問したいと思います。もしドン・ボスコがこの不安に満ちたパンデミックの時を生きていたなら、何をしたでしょう。

 一つの考えが私の心に浮かびますが、おそらく皆さんもそうでしょう。私たちの創立者は、多くの苦労を経験しました。その困難は、私たちが経験しているものとそう変わりません。私たちは思い起こせるでしょう。サヴォワ王朝がクリミア戦争に突入したころ、ドン・ボスコがオラトリオや学校を運営していて、若者たちは戦闘の前線に送られたのです!

 慈善活動のための資金は非常に限られていました。一方、創立された修道会の教育、司牧の事業、そして宣教の事業も拡大し、大きな支えが必要でした。支えがなければ、それらの事業は止まったり、倒れたりしたでしょう! その上、ドン・ボスコの時代の社会にあった反教会の空気も考慮しなければなりません!

 しかし私にとって、ドン・ボスコは2つの貴重な教訓を残してくれました。それを挙げたいと思います。

 一つめはもちろん、社会の最も弱く、それでいて希望である層は、常に若者たち自身であるということです。若者たちは食べていけること、教育を受けること、成長できる安全な環境、学び、人生の主役になり、自分の人生と社会を築き上げられるようになることが必要です。ドン・ボスコはその時代の困難を前にしたとき、麻痺して動けなくなるようなことはありませんでした。ますます熱心に働きました。創意工夫をして、見捨てられた若者に仕える方法を探しました。助けの手を差し伸べてくれる、額の多少にかかわらず寄付をしてくれる、老若男女を探し求めたのです! 私たちサレジオ家族が今日、同じことをしているのは明らかです。思い出していただきたいのですが、40年から35年くらい前、EAO地域の一員であるカンボジアは大変悲劇的な状況に陥りました。タイのサレジオ会員は、難民キャンプの若者に、所属する政治グループにかかわらず、仕えることに挑戦しました。政治的空気を乗り越え、戦後のカンボジア社会を再建する若者を育てるため、短期の職業訓練プログラムを運営したのです。ドン・ボスコのように、私たちも、自分たちの置かれた状況で、私たちのカリスマにおける使命と奉仕がなくてはならないものであることを確信し続けましょう。

 二つめは、ドン・ボスコが人間の連帯について深い確信を抱いていることです。ドン・ボスコ自身、大きな霊的家族と共に、その豊かな現実を生きるよう若者たちを育成しました。私たちはこの教訓を、コロナウィルスの蔓延というネガティブな状況の中、学んでいます。人類の歴史の中で、これほど急速な感染の広がりを人間社会は経験したことがありませんでした。直接的であれ、間接的であれ、影響を受けない人はいません。私たちは良きにつけ、悪しきにつけ、互いに密接に結ばれているのです。明らかになった真実がここに確認されます:「自分のために死ぬ人もいなければ、自分のために生きる人も誰一人いない!」

 しかし、よりポジティブな側面に目を向けると、この数か月、人々の示した連帯の精神がどれほどすばらしいものか、私たちは目の当たりにしました。私が知っているのは、パンデミックのごく初期の段階のとき、韓国管区はただちにEAO地域のほかの管区と資金を分かち合う支援をしました。養成支部の会員たちは、いかにして経費を節約して近隣の人々と分かち合い、貧しい人々を助けることができるか、話し合いました。

 サレジオの支部や小教区は、ほかの慈善団体と力を合わせ、地域の失業した貧しい家庭を救うため、食糧支援活動を立ち上げました。何千人も、もしかすると何万人もの人々がその支援を受けました。教会やキリスト者の共同体がすばやく、実に惜しみなく愛を行動に移したことに、キリスト者でない人々は驚きを隠せませんでした。

 私は信じ、祈っています。サレジオ会員、そしてサレジオ家族のメンバーが、私たちの置かれたさまざまな場で若者に仕えるため、これからもますます献身しますように。私は確信しています。今、この日々、私たちが行っていることは、いずれパンデミックが収束したなら、私たちの資金・手段のあらゆる限界にもかかわらず、私たちの奉仕が続けられることを保証する前提であると。

 神さまの祝福が皆さんの上にありますように。

EAO東アジア・オセアニア地域顧問 ヨセフ・グェン・ティン・フォック, SDB