2014サレジオ青少年運動の若者たちへのメッセージ

夢は大きく、喜び・情熱・確信を胸に

その夢を追い求めなさい

2014年  1月  31日

愛する若者の皆さん、

　総長として皆さんへの最後のメッセージを書きながら、心の高鳴りを抑え切れません。私の言葉が皆さんの心に届き、いつもあなたがたを愛してきたこと、これからも愛することを伝えられたらと願っています。皆さんは私の人生の中心、私の祈り、働きです。皆さんは私の喜び、インスピレーション、今この時の、そして神が私のために用意しておられる未来の希望の源です。

皆さんがいつも示してくれた愛情、この奉仕職の年月の難しい時に私を支えてくれた皆さんの祈りをありがとう。生きること、信じることの喜びで皆さんの顔が輝くのが見えます。同時に、不確かな将来のために皆さんの顔が曇るのも見えます。皆さんの目の中に読み取れる希望と苦しみを、私は感じ、共有しています。ドン・ボスコの後継者としてのこの12年の奉仕のあいだ、皆さんと多くの忘れがたい時を過ごしました。例えば、シドニー、マドリード、リオデジャネイロの世界青年の日大会、各管区でのサレジオ青少年運動のさまざまな集い、ユース・フェスティバル、コッレ・ドン・ボスコやそのほかたくさんの所でのキャンプなどです。それは実に、聖霊に触れられる中味の濃い時間、私たちの交わりの精神と霊性を体験した時でした。また、私たちをイエスへの、教会とドン・ボスコへの愛において共に成長させた、真の分かち合いと兄弟愛の時でした。

愛する若者の皆さん、共に歩んでくれたことを感謝します。皆さんの存在は、神の愛を明かします。これらの集いに参加した皆さんの新鮮なまなざしと熱意、私に与えてくれた喜びを感謝します。父の心で、私は皆さんを愛し続けるでしょう。そして、希望をもって将来に立ち向うよう、招きたいと願っています。神は私たちを見捨てることなく、ご自分の愛の力強い、多くのしるしを私たちに与えつづけてくださいます。

フランシスコ教皇‐教会への神の愛のしるし

今日、私たちは大きな喜びと驚きをもって、教会とこの世界そのものに告げられた新しい春を目の当たりにしています。教会の冬と衰退を予告した滅びの預言者たちは、今日、考え直すことを余儀なくされています。この新しい風、聖霊の賜物は、フランシスコ教皇の顔と心に表れています。教皇の謙虚で単純な、ほほえみを絶やさない姿は、内面の生活を明かします。教皇は、非常に融和した一貫性のある人格の持ち主であり、その行動、姿勢、考えはすべて、善、いつくしみ、憐みそのものである神のみことば、主イエスに注がれています。

私たちはこの教皇に強く心を動かされます。とてもやさしい方でありながら、同時に岩のようで、その価値観、精神力、自由な語り方と行動、光を与える預言的生き方は、一つの集約点にしっかりと結ばれています。教皇の人格を統合するこの点は、夢、そして最大規模のプロジェクトでもあります。

フランシスコ教皇の心をとらえ、多くの若者にも伝染して彼らの心をとらえているこの夢とは、何でしょうか？　それはこの世的な霊や、組織の壁の中に隠れていたいという誘惑から自由になった教会の姿です。ブルジョワ的なメンタリティー、内向きなナルシシズム、聖職者主義、男性中心主義から自由になった教会です。この世に真に受肉され、全人類に向けて開かれた家として、貧しい人々、苦しむ人々のうちに輝く教会です。教皇の心には、文化、人種、伝統、宗教にかかわらず、すべての人を迎え入れる教会にしたいという大きな願いがあります。街の通りへと出かけて行って福音宣教し、奉仕し、地理的・文化的・存在論的な未踏の領域へと向う教会です。それは貧しい人々の声を伝えながら貧しい人々を大切にする、貧しい教会です。多くを持ちながら分かち合おうとしない人々の利己的無関心を乗り越えるために。教皇は、女性にふさわしく重きを置く教会を夢見ています。女性たちがいなければ、教会は不毛なものとなる危険にさらされます。

フランシスコ教皇は情熱的にこの夢に取り組んでおり、宣教の熱意をもって同じ夢を生きることを、すべての信徒、特に若者に望んでおられます。あなたがた若者の皆さんは、この新しい春のなくてはならないヒーローです。将来を閉ざし、あなたがたを疎外し、麻痺させる使い捨て文化から脱け出すために、皆さんは心を燃え立たせ、再び自分の人生に情熱的にエネルギーを注がなければなりません。それは、人生をかけるに値する、大いなる道義的価値に基づく建設的な、高貴な目的を達成するために働くことを意味します。フランシスコ教皇とドン・ボスコは皆さんにこれを求めています。私もこの最後のメッセージで、このことを皆さんに贈ります。これを心の中で大切にし、皆さんの人生において実現してください。

皆さんの若さ、それは他者への贈り物

皆さんの若さを尊い贈り物として取り扱い、明確な召命の計画にしたがって人生を方向づけるようにと、私はこれまで皆さんに呼びかけてきました。皆さんとの出会いや祝祭のとき、一人ひとりの顔に幸せへの大いなる探求とあこがれをはっきりと見て取ることができました。キリストへの信仰は、皆さんの望みへの本当の答えです。なぜなら、キリストへの信仰だけが、根本的な幸せのメッセージ、“永遠のいのち”の約束、その賜物であるからです。

サレジオの霊性から汲むということは、ドン・ボスコの心そのものに分け入ることです。そこでは、務めと喜びが共にあり、聖性と幸せは切り離すことができません。総長としての奉仕職の初めから、私は皆さんに、単純で快活な、落ち着いた心の聖性を提案してきました。サレジオの青少年霊性は、イエス・キリストと出会い、信頼の友情をイエスとのあいだに打ち立てるよう、皆さんを助けることを目指します。教会は、キリストに出会いみことばに耳を傾けるためにキリストが選ばれた、それにふさわしい場であると私はいつも主張してきました。キリストの控えめな現存だけが、皆さんの自由を触発し、精神・心・意志を教育することができるのです。皆さんからのほんのわずかな信頼のしるだけで十分です。キリストはやさしく語りかけてくださるでしょう。「幸せと、いのちを成長させる本当の良いものに飢え渇くあなたがたは、来て、私のもとにとどまりなさい。疲れ、落胆し、暗く沈んだあなたがたは来なさい、体、精神、心の奥底で苦しんでいるあなたがたは来なさい。」

愛する若者の皆さん、キリストのことばに耳を傾けてください。それはやさしくなぐさめながらあなたがたの内に入るでしょう。聖体においてみことばは、あなたがたの肉、血となり、新たないのちを与えてくださいます。それは、祈り、兄弟の絆、奉仕によって養われる新たないのちです。召命、使命、他者への忠実な献身と全面的に必要に応える姿勢として理解され、生きられる新たないのちです。フランシスコ教皇の、全教会に向けた心からの訴えに耳を傾けてください。「出かけて行きましょう、すべての人にイエス・キリストのいのちを差し出すために、出かけるのです！」どうしてこの呼びかけを断ることができるでしょう。この呼びかけは、ドン・ボスコのDa mihi animasと同じ強さと情熱をたたえています。皆さんの若々しい広い心は、歓喜してこの呼びかけを情熱的に抱きとめずにはいられないでしょう。生きたあかしのために必要なあらゆるエネルギーを損なう、弱々しくしぼむ信仰を追い払って。

皆さんは、預言となる信仰、神に愛されているという確かさを表す信仰を生きるように、そうして神だけを自分の安心の拠りどころとするように招かれています。神の名において、何ものをも恐れず、この世の魅惑に影響を受けることなく、生ぬるい生活に安住することなく、すべてを賭けることができます

皆さんへのフランシスコ教皇の招きは、この世に仕えるために、恐れずに出かけて行くように、キリストとキリストの福音という賜物でこの世を豊かにするようにというものです。この世界を本当に変えるために、教皇は皆さんに信頼を置いています。なぜなら復活されたイエスがいつも、時の終わりまであなたがたと共におられ、すべてを新たにされるからです。「真の信仰は、この世を変えたい、価値を伝え、私たちが地上を歩んだ後により良いものを残したいという深い望みを、常に伴います。」（福音のよろこび183）

　心から愛する若者の皆さん、

皆さんにお別れを告げながら、私の父の心からあふれる言葉を皆さんにゆだねます。私はいつもあなたがたを愛してきましたし、これからも愛しつづけます、そしてあなたがたの友、私の友であるイエスに皆さんのことをお祈りしつづけます。私たちの愛するドン・ボスコの言葉を自分の言葉として皆さんに贈りたいと思います。「愛する若者の皆さん、最後の息に至るまで、あなたがたのためにこのいのちを生きます！」そして、皆さんの祈りもお願いします。私が忠実と愛をもって、これからも教会とサレジオ家族に仕えることができますように。

聖性の模範、新福音宣教の星として一貫性と完全さをもって生涯を生きられた、私たちの扶けマリアに皆さんをゆだねます。マリアが母のやさしさをもって、皆さんの人生のすべての瞬間にいつも共にいてくださいますように。マリアが皆さんを、交わり、奉仕、惜しみなく熱心な信仰、正義、貧しい人への愛の美しいあかし人へと変容させてくださいますように。福音のメッセージの喜びがすべての若者に届き、世界の隅々に及び、その光の届かないところがなくなりますように。

いつもドン・ボスコのうちに皆さんと共に。

  総長　パスクアーレ・チャーベス・ビラヌエバ神父 sdb