副総長メッセージ12月:海の砂浜のように広い心
副総長メッセージ(Bollettino Salesiano 2024年12月)
海の砂浜のように広い心
新しい時が私たちに与えられます。ドン・ボスコの偉大な心に映し出された贈りもの、神の心から人類の心に
親愛なる友人、読者の皆さん、この12月号の紙面を借りて、新年の心からのご挨拶を送ります。私たちは熱心に「いのちの新しさ」を生きるための新しい時の中にいます。最近、教皇様が私たちに下さった贈り物—―イエス・キリストの聖心の人間的・神的愛についての回勅『ディレクシット・ノス(Dilexit nos)』――のメッセージのうちに、私はこれを、時宜に適ったふさわしい願いとして、自分のものとします。
私たちサレジオ会員には次のように歌う習慣があります。「神はあなたに海の砂浜のような、大きな心を下さった。神はあなたにご自分の霊を下さった。あなたの愛を解き放って下さった」。
ドン・ボスコのことをよく知っていた教皇ピオ11世は、「彼は『素晴らしい個性』を具えている。『魂への大いなる愛の人』であり、『私たちの主イエス・キリストの思い、聖心、御血』を通して魂を見た」と言いました。実に、私たちの修道会の紋章には燃える心が描かれています。
『ディレクシット・ノス』の第2項で、教皇は次のように説明しています。「イエス・キリストの愛を表現するために、心のシンボルがしばしば使われてきました。このシンボルは今でも意味を持つのかと疑問を抱く人もいます。しかし、うわべだけで過ぎてゆくこの時代、本当の理由を知らずにこちらからあちらへと慌ただしく突進し、私たちの人生の深い意味に関心の無い市場のメカニズムの、強欲な消費者、奴隷に成り下がってしまいがちな私たちは皆、心の大切さを再発見しなくてはなりません」。
私たちに与えられる新しい時、来る年に、新たな生き方を私たちに示す教皇のこの教えは何と力強いことでしょう。
第21項には次のように書かれています。「すべての人、男性、女性の内にあるこの深い中核、最も奥深い中心は、魂の中核ではなく、その人の魂と体から成る類ないアイデンティティーにおける、その全人的存在の中核です。すべてのものは心のうちにその統一を見ます。心は、愛がその霊的、心的、身体的次元でも宿る場となります。一言で言えば、もし愛が私たちの心を治めるなら、私たちは完全な、光り輝く姿で、本来あるべき人となるのです。すべての人間は何よりも愛のために創造されているからです。私たちの存在の最も深いところで、私たちは愛し、愛されるためにつくられました」。
そして教皇は第27項で書き足しています。「生きて現存するイエスの聖心の前で、聖霊に照らされた私たちの精神はイエスの言葉を理解することで成長し、私たちの意志はそれを実践するよう動かされます。実践はひとりよがりの道徳主義にとどまりえます。しかし主を感じ、味わうこと、主を讃えることは心の問題です。心だけが他の能力や情熱、そして私たちの全人格を、主のみ前で、敬う態度、愛のこもった従順な態度にさせるのです」。
この回勅についてはここまでにしますが、皆さんの興味をかきたて、この素晴らしい回勅を皆さんが読みたくなったことを願っています。この書は、私たちに与えられる時を新しい方法で生きるための素晴らしい贈り物であるだけでなく ‐ それだけでも十分なのですが、私たちに深い意味での「サレジオらしさ」を示してくれるのです。ドン・ボスコは、私たち人間としての現実に同伴する神の愛としてのイエスの聖心への信心を広めるために、熱心に執筆し、多くを成し遂げました。
素晴らしい後押し
『回想録』第8巻に、ドン・ボスコについて次のように書かれています。「イエスの聖心に対する篤い信心は、彼のすべての行動の活力となり、親しみのこもった対話や説教を実り豊かなものとし、彼の司祭職を説得力あるものとした。私たちは皆、ひきつけられ、感服したのである(ドン・ボネッティの証言)。また聖心が、彼の困難な使命の遂行を特別なカリスマによって、助けたことがうかがえる」。
ドン・ボスコの聖心に対する信心の証言は、当時の教皇の求めに応じてローマに彼が建てた同名の大聖堂と「具体的に」一致します。
実際の建物はドン・ボスコの聖心への「記念碑的」信心を私たち皆に再度示し、思い起こさせます。聖母への信心と同様に、彼の建てた聖堂が、聖心に対するドン・ボスコの信心を明示しています。聖心への信心は究極的に聖体への信心であり、聖体への礼拝なのです。
つねに聖心を愛してやまなかったドン・ボスコの心は、新年に、私たちもその愛を生き生きと真実に生きるよう、一人ひとりのためにすばらしい後押しとなるでしょう。これこそが幸せな新年を充実して生きられるようにという、心からの深い願いです。先の歌は次のように続きます。「あなたは人を形づくられた。健やかで強い心をもつ人を。その人々を世界へと派遣した。喜びの福音を告げるために」。
この短いメッセージを終えるにあたり、皆さんに幸せな新年を心からお祈り申し上げたいと思います。教皇フランシスコが回勅の初めに伝えている、カーニバルのお菓子の名前、「ブジエ」の意味に関する教皇の祖母の教えをイメージとして―― お菓子作りのとき、練り粉はふくらみますが、中は空っぽです。外側に対して内側は空洞なのです。外から見ると大きいのに実際は違うので「ブジエ(嘘)」[1] なのです。
私たちの中に来てくださる神を迎えることのうちに具体化される新年が、私たち皆にとって充実して豊かなものとなりますように。神の訪れが平和と真理をもたらしますように。外から見たものと内側にあるものが一致しますように!
心から皆さんの幸せをお祈り申し上げます!
副総長ステファノ・マルトリオ神父
《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》
■同じメッセージの各国語版はサレジオ会総本部サイト内の以下のリンクからお読みいただけます。どうぞご利用ください。
〇英語