アンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿 サレジオ会総長任期終了に際して
アンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿は、昨日2024年8月16日をもって自身のサレジオ会総長としての任期が終了したことを発表しました。
2025年2月16日から4月12日までトリノで開催される第29回サレジオ会総会において次の総長が選出されるまでの間、副総長のステファノ・マルトリオ神父が、会を暫定的に統治することになります。
以下に、総長の任期終了に際してのメッセージの全文の日本語訳を掲載いたします。
また、各国語版のPDFもリンクよりダウンロードいただけます。
2024年8月17日
サレジオ会日本管区
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サレジオ会員とサレジオ家族の兄弟姉妹の皆様へ
親愛なる兄弟姉妹の皆さん、
私たちの父ドン・ボスコの生誕を記念するこの日に、兄弟的な愛情に満ちた挨拶をお受け取りください。私は、1815年8月16日にドン・ボスコが生まれたここベッキの地において、荘厳なミサでドン・ボスコの生誕を祝った数分後に、この言葉を皆さんに送っています。この場所で生まれた子どもは、ドン・ボスコの家族という大きな運動に命を与えるために、神の霊の素晴らしい道具となりました。
今朝、副総長、多くのサレジオ会員、サレジオ家族、ドン・ボスコの友人たち、行政と軍の当局の方々、そして若者のシノドスに参加するために世界中から集まった375人の若者たちの前で、私はサレジオ会の会憲と会則の規定に従って、総長職を辞任する署名を行いました。多くの方がご存知のように、教皇フランシスコが教会のための別の奉仕に私を召されたためです。
私は、世界中のサレジオ会に関わる皆さんに、この手紙をもって、主が私たちをこれまでどのように導いてくださったかを信仰と希望のうちに表明し、サレジオ会の総長として、またドン・ボスコの名においてサレジオ家族全体の父として、この10年半にわたって受けた多くの恵みに感謝の意を表したいと思います。
親愛なる兄弟姉妹の皆さん、まず第一に、神ご自身が修道会とサレジオ家族を祝福してくださったこと、136カ国に広がる修道会の中で私たちが非常に多様な時間と現実を経験したこの年月について、神に感謝します。この10年間、私たちは使命をより良く果たし、私たちがいただいたカリスマに忠実であるために、大きな希望と決意をもって、すべてのことに信仰のまなざしで向き合ってきたと言えると思います。
これらの年月の間、私自身も私たちも、主から来る落ち着きと強さを欠くことがなかったことを主に感謝します。復活された主が聖パウロに語った言葉は真実です。「わたしの恵みはあなたに十分である」(2コリ12:9)。私は個人的にも、総評議会と共にも、自らに委ねられたアニメーションと統治の奉仕を果たしてきました。特に、この10年半の間、私と共に歩んでくれた2つの総評議会の、共通のプロジェクトに対する誠実さ、献身と奉仕に感謝したいと思います。
サレジオ会総長としての任期の終わりに、私は、修道会を導く任務に献身と寛大さをもって取り組む副総長ステファノ・マルトリオ神父に特に感謝の意を表します。今後数か月間は、多くの課題と大きな責任が待ち受けていますが、マルトリオ神父の性格、兄弟的なアプローチ、その資質と楽観主義は、総評議会の助けと神の導きを得て、第29回総会までの道のりを容易なものにしてくれることでしょう。
私は、サレジオ会員の皆さんに心からの感謝を申し上げます。世界中のどこに行っても、私はいつも歓迎され、愛され、兄弟的に受け入れられていると感じ、皆さんの協力と寛大さを見出しました。サレジオ会員は、総長をドン・ボスコ自身のように愛し、気遣ってくれていることは事実です。それは、ドン・ボスコ自身がサレジオ会員への霊的遺言で求めたことでもあります。皆さんのこの寛大さに感謝します。
また、世界中に広がるサレジオ家族の全ての団体にも感謝の気持ちを表したいと思います。ドン・ボスコが創立したサレジアン・シスターズの姉妹の皆さん、サレジアニ・コオペラトーリ、扶助者聖マリアの会(ADMA)など、今日32のグループがこの大きなカリスマの木を構成しています。この10年は、成長と祝福の期間でした。主への信仰によって、これらすべてを可能にしてくださったすべての方々に感謝いたします。
この10年間の私のアニメーションと統治の奉仕の期間中、サレジオ会とサレジオ家族が存在する120カ国を訪問することができました。その間、私は世界中の子どもたち、十代の若者、若者たち、そしてあらゆる国と文化の青少年と出会うという素晴らしい贈り物をいただきました。私は、サレジオ会の多くの拠点や私たちの家族の中で、日々「人生を癒し、変える教育の奇跡」が起こり続けていることを、直接自分の「目で見て、心で感じる」ことができました。そして、私は、あらゆる大陸や文化から来た何千、何万もの若者たちと出会うことができました。このことは、私の最も深い喜びのひとつでした。
最後の感謝を伝えたいことがあります。それは、総長任期中、私が血を分けた家族の無条件の愛に励まされ、支えられてきたということです。今は神のもとに召された両親は、9年間、いつも「自分たちのことは心配するな」と私に言いながら、愛情深く、穏やかに、そして祈りを捧げながら私に同伴してくれました。両親をはじめとする家族は、常に私のそばにいてくれ、その存在によって私を支え、私のつつましい出自を忘れることのないよう、安全な港となってくれました。
2014年3月25日、ドン・ボスコの9代目の後継者であるパスクアル・チャベス神父が、私を選出した第27回総会を代表して、総長の職を引き受けるかどうか尋ねた際に私が述べたことを、最後に紹介させてください。
その頃の拙いイタリア語で、私は深い感動のうちに「主の恵みに信頼し、信仰のうちに、兄弟であるサレジオ会員たちに常に支えられているという確信を持って、また、サレジオ会員の心で若者たちを本当に愛しているからこそ、私に求められたことを引き受けます」と答えたことを思い出します。今日、この感謝の言葉をもって、私が望んでいたことは全て、神の恵みによって実現したと申し上げることができます。
最後に、私たちの父ドン・ボスコと扶助者聖マリアに感謝の言葉を捧げます。ドン・ボスコが長年にわたってサレジオ会とサレジオ家族を見守り、支えてきたと私は確信しています。そして、この間、ドン・ボスコ自身が私たちに保証したことがすべて実現したことも疑いのないことです。「聖母がすべてをなさった」のです。これはドン・ボスコについてそうでしたし、ここ数年の間もそうでしたし、今後も疑いなくそうなのです。私たちの母であり、助け手である聖母に身を委ねましょう。
これからもドン・ボスコのサレジオ会員であり続ける皆さんの兄弟より、心からの感謝を込めてお別れの挨拶をいたします。愛を込めて。
総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿
コッレ・ドン・ボスコにて
2024年8月16日
【各国語版PDF】
※日本語訳はイタリア語版に基づいています。