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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ6月:教育者が子どもたちの心にふれる時、またはドン・ボスコのようになるわざ


総長メッセージ(Bollettino Salesiano 2024年6月)

教育者が子どもたちの心にふれる時、またはドン・ボスコのようになるわざ

ドン・ボスコのようになるわざ:「忘れないでください。教育は心の問題です。神のみがその師匠です。神がそのわざを私たちに教え、鍵を渡してくださらないなら、私たちは何も成し遂げることができません」(『メモリエ・ビオグラフィケ』XVI、447)。

 

親愛なる友人、『ボレッティーノ・サレジアーノ』の読者であり、ドン・ボスコのカリスマの友である皆さん、

私はこのメッセージが印刷される前に、言うなれば生放送のような形でこのごあいさつを書いています。私がこれから皆さんに話そうとしているのは、わずか4時間前に経験したことだからです。

私は少し前にルブンバシに到着しました。10日前からウガンダのパラベクで難民や避難民を受け入れている所など、主要なサレジオ会の事業を訪問してきました。神に感謝、パラベクの人々は最初に私たちの事業所に来たときと比べると、今はずっと人間らしい生活をしています。そして私はウガンダから、困難な状況で苦しんでいるコンゴ民主共和国東部のゴマに行きました。そこでは、サレジオ会の活動の場は活気に満ちています。私はさまざまな場面で、心を「打たれた」と言いました。善が行われているのを目にし、最もむごい貧困の中でも、神がまさにそこにおられるのを見て、心を揺さぶられたからです。それでも、ドン・ボスコ・ガンギのサレジオ会事業所に迎え入れられた32000人の人々(ほとんどが高齢者、女性、子どもたち)のうちの何人かと会ったとき、私の心は痛みと悲しみに打たれました。これについては、しばらくのあいだ心の中で休ませたいので、次の機会にお話ししましょう。

ここでは、ルブンバシに向かう飛行中に私が目撃した素晴らしい光景についてだけ取り上げたいと思います。それは中型の飛行機での公共路線のフライトでした。私は機長を知りませんでしたが、機長は現地のサレジオ会員たちとは知り合いでした。私が機内で挨拶すると、彼は、ゴマのサレジオ会の職業訓練学校で学んだと話してくれました。その数年が彼の人生を変えたそうです。そして彼は、私とそこにいた全員に話しながら、特別なことを付け加えました。「ここゴマには、私たちにとって『父』となった人がいます」と。アフリカの文化では、誰かを「父」と言うとき、可能な限り最高の賛辞を贈っているのです。しばしば、この父は息子や娘にとっての生物学的な父ではなく、その人を実際に世話して支え、寄り添った人を指しています。

機長は45歳くらいの男性です。息子も若いパイロットとして同じ飛行機に乗っていました。機長は誰のことを言ったのでしょうか。それは、サレジオ会のブラザーのことでした。すなわち司祭ではなく、ドン・ボスコが私たちの召命を生きるもう一つの道として定めた、奉献された信徒サレジオ会員です。スペインから来たその宣教師ブラザー・オノラートは、ゴマの地域で40年以上働いてきました。もちろん、他のサレジオ会員と共に、彼は‐他の多くのことと同様に‐職業訓練学校の実現、存続のために可能なことをすべて行ってきました。ブラザーは、機長と彼の友人たち、そして何百人もの少年たちが、ただ近隣地域に暮らす子どもだったときに彼らと出会いました。実際、機長の話によると、彼の4人の仲間はそのころストリート・チルドレンだったのですが、ドン・ボスコの家で機械工学を勉強し、今では自分たちの会社で小型飛行機の機械的、技術的メンテナンスに携わるエンジニアだそうです。

サレジオ会学校の同窓生である機長が、ブラザー・オノラートは自分の父、自分たち皆の父であったと言うのを聞いて、私は深く感動しました。そしてドン・ボスコのことを、少年たちがドン・ボスコを父と見なしていたことを思い出しました。

私は思いました。「教育が心の問題だというのはどれだけ真実であることか」と。私たちが少年少女、若者たちの間にいることは、私たちにとって「秘跡」のようなもので、それを通して私たちも神に到達するという確信を私は深めました。だからこそ、私は近年、サレジオ的な「共に在る存在の秘跡」について、兄弟会員やサレジオ家族に情熱と信念をもって語ってきたのです。

サレジオの世界で、世界中の私たちの家族の中で、私たちの兄弟姉妹の中に多くの父、母がいて、その存在と愛情、そして教育の力によって、今日、それを切実に必要としている若い人々の心にその心が届いていることを私は知っています。人生をよりよいものに変えることのできるこのような人々の存在が、ますます求められていると言ってよいでしょう。

アフリカから挨拶を送ります。サレジオのカリスマの友である皆さんに、主のあらゆる祝福がありますように。

皆さんの上に神の祝福がありますように。

総長アンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》

 

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