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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ6月「ドン・ボスコの宣教の夢を実感」


 

総長メッセージ(”Bollettino Salesiano” 2018年6月)

ドン・ボスコの宣教の夢を私は目にし、実感しました。

 親愛なる皆さん、心をこめてこのメッセージをしたためています。実のところ、締め切りにはかなり遅れています。(こうして巻頭言を書いている時に、しょっちゅうぎりぎりの状態になっているので、「ボレッティーノ・サレジアーノ」の編集者をはらはらさせています。私の名前で私自らペンを執って書く時はいつもこの調子です。)

 チャコ・パラグアイからパラグアイの首都アスンシオンに1時間前に戻ったばかりで、皆さんにこの手紙を書いているところです。私たちは3日間の充実した日々を過ごし、数々の体験をしてきました。私はさまざまな先住民に出会い、彼らと分ち合うことができました。それこそがまさに今回の私の旅の目的であり、求めていたことでした。この70年間にわたり、サレジオ会の兄弟たちとサレジアン・シスターズの姉妹たちが生活を共にしてきた先住民の人々と、私は出会い、言葉を交わしたかったのです。

 私はアルト・パラグアイ県、フエルテ・オリンポに近い地域に暮らす、チャマココ族と数時間を過ごしました。長旅の後、私たちはカルメロ・ペラタに住む人々のもとに到着しました。そこでは、アヨレオ族のいくつかの共同体と午前中いっぱい共にいることができました。そしてパラグアイとブラジルを隔てるパラグアイ川を3時間かけてカヌーで移動、プエルト・カサドの水びたしになった道を通る困難な旅を経て、私たちはマスコイ族の人びとに会うことができたのです。

 私の心は幸せな気持ちと感動で満たされました。ドン・ボスコがつねに心に抱いていた宣教の夢――その実現はパタゴニアから始まったのですが――は今も継続し、しかも生き生きとしていると、私は確信をもって皆さんに伝えることができます。私はそれを目にし、実感しました。私の兄弟姉妹(サレジオ会員とサレジアン・シスターズ会員)が彼らと共に過ごしてきた70年間に感謝している先住民の人びとの喜びを、私も体験することができました。チャコ地方で生活するには今でも大変な苦労が要ります。50年前はどれほど困難だったことでしょう。チャコに40年、42年、51年も住んでいるサレジオ会の兄弟たちを誇りに思い、愛情をこめて彼らを抱擁できたことは私の喜びでした。凄まじい湿度を伴い、時として気温は45度まで上がることもあります。彼らの「イエスを選ぶ」という選択には、単純素朴にチャマココ、アヨレオ、マスコイの名が付いているのです。

 パラグアイ先住民の部族長―カシケ―たちから聞いた話に私は深く感動しました。彼らのもとに留まることを許されたのは私たちサレジオ会の兄弟たちだけだったそうです。というのも、彼らにとって危険ではないと見なされたからです。先住民のための公的教育が始まる30年前に、サレジオ会員たちは彼らのために学校を始めていました。サレジオの学校を卒業した後、子どもたちは公立学校の試験を受け、教員養成のための正規教育を受けることができました。プエルト・カサドのマリア・アウシリアドラ校で学んだアヨレオ出身のオスカルもそのような若い生徒のひとりでした。現在、彼は家庭をもつ父親で、母校の校長を務めています。マスコイ族では部族長がプエルト・カサドにあるサレジオ会の学校で学びました。彼の子どもたちも同じで、そのうち2人は今、アスンシオンの大学で勉強中です。その部族長が嬉しそうにユーモアを交えて話してくれたことによると、サラマンカ出身の宣教師マルティン神父が彼の小学校の先生だったそうです。そしてそのマルティン神父は今もそこにいて、今日、私と共にいます。

 ドン・ボスコは息子、娘たちを誇りに思っていると、どうして感じないでいられるでしょうか。

 サレジオ会の宣教師たちは先住民の土地を取り戻すための闘いにも力を貸しました。数年前、サレジオ会員たちはあらゆる努力を尽くし、2000ヘクタールの土地がアヨレオ族に引き渡されるようにしました。そのおかげでアヨレオ族はすでに取り戻していた土地に新たな土地を併合することができたのでした。サレジオ会員たちはマスコイ族のためにも同じ闘いを遂行し、失われていた土地は再び彼らの手に戻りました。

 私はこれらすべてのことをあの素朴な人びとの強い信仰、幼子イエスと聖母への信仰、また私たちの父なる神と私たちの主イエス・キリストへの信仰と共に体験しました。

 希望もまたそこにはあります。先住民たちは消えゆく運命にあると信じている人びと、またそうなることを望んでいる人びとがいます。けれども神様のおかげで、先住民は立ち直り、人口も増えているのです。子どもたちはすくすく成長し、教育を受けて育成されています。いつまでもますます自由を享受し、誰からも腐敗や策略により権利を傷つけられたり、虐げられたりすることがないように。

 ですから、私は今ここで言いましょう。私はドン・ボスコの宣教の夢を信じます、と。私は自分のこの手でそれに触れたのです。

 皆さん全員に、その生き方によって私たちに多くのことを教えてくれるこの人びとに、あらゆる善がありますように。

 愛をこめて

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

 

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》