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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ5月 聖霊は今も働いておられる


 

総長メッセージ(”Bollettino Salesiano” 2019年5月)

 

聖霊は今も働いておられる

聖フランシスコ・ザビエルとドン・ボスコ
ふたりの偉大な宣教師、過去と現在

 

 つい先日、私はインドのゴアにいました。そこで私が目にしたのは、やしの木と美しい浜辺の砂の中に姿を現す16世紀から17世紀にかけて建てられた大聖堂や教会でした。そのうちの1つがボン・ジェス(良きイエス)教会で、特にキリスト教徒にとって、また他の宗教を信じる人びとも訪れる巡礼の場となっています。ナバラ出身の宣教師で、イエズス会創立者聖イグナチオ・デ・ロヨラの弟子でもあり、極東に福音を伝えた聖フランシスコ・ザビエルの聖骸がここにあるからです。フランシスコ・ザビエルは1552年に中国で亡くなりましたが、聖遺物はゴアのカテドラルとアシジの聖フランシスコ教会の側に位置するこの美しい教会に置かれているのです。聖人の遺骸を納めるため、この教会は1594年から1605年の間に建てられました。聖骸が腐敗を免れたことは、1622年にフランシスコ・ザビエルが列聖されるための奇跡のしるしとなりました。

 数人のサレジオ会員と信徒たちと共に、私はこの聖なる偉大なイエズス会宣教師の墓所の上の祭壇でミサを捧げる恵みに浴しました。私はそのミサを聖ヨハネ・ボスコに捧げることを願い、ドン・ボスコの取り次ぎを求めました。何故でしょうか。大きな理由はドン・ボスコもまた偉大な宣教師だからです。そのミサは飾らない簡素なものでしたが、美しく、格別に心のこもった深みのあるものでした。聖フランシスコ・ザビエルとドン・ボスコの取り次ぎにより、私は世界中のサレジオ会の宣教活動と若者たち、ことに最も貧しい若者たちへの優先的な愛を主にお捧げしました。

「私の息子、娘たちが私の代わりに出かけて行くだろう」

 ドン・ボスコ自身は「ad gentes すべての人への」宣教師となったことがないにもかかわらず、どうして私が彼のことを偉大な宣教師と言うのか不思議に思う方もおられるでしょう。ドン・ボスコは息子であるサレジオ会員たちを宣教に派遣しましたが、自ら宣教師として外国に赴いたことはありませんでした。私たちは事実としてそのことを知っていますが、同時にそれは正確ではありません。ここで私が皆さんに提供する事実により、ドン・ボスコの偉大な宣教師の心をわかっていただけるでしょう。1888年1月31日にドン・ボスコが帰天したとき、サレジオ会員は754人でした。驚くべきことにドン・ボスコはすでに南米への宣教師として、その20%に当る153人を送り出していました。このことが宣教への情熱と無縁だと言えるでしょうか。ドン・ボスコ自身が手紙の中で何回も、その情熱をこめて語っています。彼は宣教師になることを望んだが、代わりに出かけて行くのは彼の息子たちだと。

 ゴアに滞在中、私はこの宣教の奇跡を神に感謝しました。聖霊は最初にフランシスコ会、ドミニコ会、イエズス会の宣教師たちを、そしてドン・ボスコの息子、娘たちをも導き、彼らに寄り添ってアジア全土の福音宣教のわざを行いました。今日、インドには2786人のサレジオ会員と様々な修道会のシスターたち数千人(サレジアン・シスターズ、扶助者聖マリア宣教姉妹会、無原罪の扶助者聖マリアのカテキスタ姉妹会など)がいます。すべては真の恵みです。

「ゴアで、何世紀もの時は私たちを隔てるのではなく、人生において、また福音宣教において本質的で最も真実なことはすばらしい継続性があることを体験し、実感することができました」。

 あの感動的なミサを終えた、その日の朝、私は路上で救出した子どもたちに寄り添うサレジオ会の兄弟たちの実際の姿を目にしました。私たちは、10歳から15歳までの様々な年齢の40人の少年たちと素晴らしい朝を過ごしました。彼らの目は特別な輝きを放っています。彼らはわが家にいるようにくつろいでいます。彼らは学校に通い、遠くない将来にあらゆる機会を与えてくれる養成や教育を受けています。彼らは見事に歌います。微笑んでいます。私たちは挨拶を交わし、記念写真を撮りました。彼らはスペイン語で「¡Hola y Hasta la vista! こんにちは。そしていつかまた」と言うこともできました。  

 170年前、トリノのヴァルドッコで少年たちは、私たちの愛するドン・ボスコと共に同じようにしていたのだと私は思い当たりました。今日、彼の宣教の心は、息子たち、娘たちを通して、世界中の少年少女が今日のヴァルドッコ、今日のモルネーゼを生きられるようにしているのです。

 今日、天国の勝利の教会との交わりの恵みのうちに、歩みをたどる私たち地上の巡礼する教会は、聖なる宣教師フランシスコ・ザビエルとドン・ボスコの宣教活動への祝福を受けながら、この美しいゴアでも、人びとや少年少女にとって、今日も主がいのちとなるよう働いています。

 ゴアで、何世紀もの時は私たちを隔てるのではなく、人生において、また福音宣教において本質的で最も真実なことにすばらしい継続性があることを体験し、実感することができました。

 私たちのみ母に捧げられたこの月、私は世界中の宣教活動に主のみ名によって寄り添い続けてくださるよう、扶助者聖マリアに祈り求めます。私たちのサレジオ家族の宣教の働きがこれまでと同様、今日も忠実であり続けることができますように。

 主が皆さんを祝福し、扶助者聖マリアが皆さんに寄り添ってくださいますように。

心をこめて
ドン・アンヘル

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

 

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》