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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ12月 「異なる能力をもった」子どもの中にも神は生まれる


 

総長メッセージ(”Bollettino Salesiano” 2019年12月)  

「異なる能力をもった」子どもの中にも神は生まれる

 

「ボレッティーノ・サレジアーノ」、そしてドン・ボスコのカリスマの友である皆さんにクリスマスのご挨拶を申し上げます。

 ネパールと美しい北東インドのシロン管区訪問から数時間前にローマに戻ったところで、私はこのメッセージをしたためています。

 私はかの地でサレジオ会の兄弟たち、信徒、サレジオ家族のメンバーたち、サレジアン・シスターズの姉妹たち、そしてキリスト者の扶助者聖マリアの宣教修道女会(MSMHC)の姉妹たちに会いました。MSMHCのシスターたちはアガルタラで「異なる能力をもった」子ども、若者のための施設で奉仕しています。

 ミサで、教会の最前列にいた45人ほどの聾唖(ろうあ)の子どもたちが、目の前で歌詞を手話で伝えるシスターに倣って手話ですべての歌を「歌った」とき、私は完全に心をとらえられました。手話で歌い、注意深く集中している彼ら、彼らの幸せな表情に私は感動しました。

 私は信仰をこめて祈りました。彼らと共に彼らのために祈りました。

 翌朝、私たちは彼らの家、トリプラの州都アガルタラのフェランド司教リハビリテーション・センターで彼らに会うことができました。扶助者聖マリアの宣教修道女会(インドのグワハティで1942年、サレジオ会員、尊者ステファノ・フェランド司教によって創立されたサレジオ家族の公式グループ)の会員はここで、トリプラ地域出身の150人の子どもたちのために働いています。子どもたちのうち62人がシスターたちと一緒に暮らしています。私たちの訪問時、彼らは伝統舞踊「ホジャギリ」を披露してくれました。皆が踊る様子を見るのは感動的でした。彼らは私たちと同じようにではなく、異なる感覚で見事に音楽のリズムを「聞いて」踊るのです。体操演技を披露してくれたひとりの少女は高度な技術で私たちを驚嘆させました。何よりも素晴らしかったのは彼女の感受性、喜び、ほほえみ、手話による感謝の表現、私たちのための祈りでした。

 私はこれらのささやかな奇跡について考えました。子どもたちは教育を受けています。彼らは幸せです。彼らは生きていくためにそなえています。彼らの先輩たちの数名は大学を卒業しました。その施設でいかなる時も私は主の現存を感じました。自己を捧げて奉仕するシスターたちの兄弟愛、主に感謝し、自分たちが人生において受け取っているものに感謝する子どもや青年たちの喜びを私は感じ取りました。それを私は見つめ、観察し、心の奥深くで感謝しました。

 ネパールやシリグリでもそうであったように、すべての人びとのうちに神は現存し、美しい人生の物語を書き続けておられることを、今一度私は確かめることができました。神は多くの心のうちに生まれておられます。

 アガルタラでの数時間で私はいくつかの手話を覚えたので、子どもたちに挨拶し、すべてが楽しかったと伝え、感謝を表すことができました。うれしいことでした。ドン・ボスコという贈りものとサレジオ家族を主に感謝しなくてはならないと私は感じました。ささやかであれ、私たちは皆、その中で何か貢献をしています、すべては善のために。

 親愛なる友である皆さん、この手紙によって私は、小さいけれど偉大な教育と救いの「奇跡」の数々を皆さんの目に見えるものとしたいのです。

 ですから、今年のクリスマス、主が私たち皆の中におられること──私たちがそれをはっきり意識しようとしまいと──主がまずもってアガルガタラの子どもたちのような、最も小さく単純なひとびとの中でいのちとなられることを、私は再び宣言します。

 私はアガルタラの子どもたちに、彼らのために祈ること、他の人びとにもそれを頼むことを手話で約束しました。彼らは私に感謝しました。彼らのまなざしがすべてを語っていました。そして彼らのほほえみは私の心の奥深くまで届きました。  親愛なる皆さん、クリスマスです。今もとこしえにも救いのときです。けれども、この時期、私たちはこれを特別な意味で、呼びかけとして、いのちとして受け取ります。

 アガルタラの「異なる能力をもった」子どもたちと共にクリスマスの喜びを皆さんに申し上げます。私たち皆にとって愛である、幼な子なる神の誕生を祝いつつ。

 心をこめて、もう一度メリー・クリスマス!

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》