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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ11月 宣教の夢は生き続ける


 

総長メッセージ(”Bollettino Salesiano” 2019年11月)

宣教の夢は生き続ける

 

 サレジオのカリスマの友である皆さん、私がここで取り上げる夢はドン・ボスコの大いなる宣教の夢です。まだ小さくもろいものであったサレジオの聖フランシスコ会(サレジオ会)の創立初期(1875年)にも、ドン・ボスコは最初の宣教団をアルゼンチンに派遣しました。かの地に上陸した数千ものイタリア移民の世話が目的でした。できるだけ早くパタゴニアの先住民たちに福音を告げたいという強い望みもありました。このドン・ボスコは宣教の夢の中で、自分たちのミッションと修道会がチリのバルパライソから中国の北京まで発展し、拡張するのを目にしたのです。

 ドン・ボスコの宣教の夢は生き続けています。とても生き生きしているので、もしドン・ボスコが実際に私たちの中にいたなら、疑いなく彼は幸せを感じたことでしょう。サレジオ会と扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)(後者は偉大な共同創立者聖マリア・ドメニカ・マザレロの力を得て創立されました)という2つの立派な修道会が宣教する会であり続けるばかりでなく、彼が始めた最初の派遣から途切れることなく宣教師を送っている様子を目にしてドン・ボスコは自ら喜びを口にするでしょう。派遣は回を重ね、今年で150を数えます。

1万人の宣教師たち

 去る9月29日、扶助者聖マリア大聖堂での感動的なミサの中で宣教の十字架が4つの大陸に向かう36人のサレジオ会員と12人のサレジアン・シスターズ会員に渡されました。大いなる喜びと家族的なお祝いの雰囲気があふれていました。100人以上の司祭がミサを共同で司式し、大勢のサレジアン・シスターズ会員とサレジオ会員が青年ボランティアやサレジオの行事に関わってくれるヴァルドッコの信徒共同体メンバーと一緒に参加しました。

 説教の中で私は興味深いだけでなく、大いなるカリスマ的アイデンティティーと価値を有するある事実を分ち合うことができました。サレジオ会総本部の宣教部門には、第1番目のジョヴァンニ・カリエロ神父から始まる、150回の派遣で送り出されたすべての宣教師の氏名が記録された1冊の書物があります。1875年に始まり、そこに記載されているサレジオ会宣教師の数は9,542人です。けれどもそこに含まれないさらに千人ほどの会員たちがヴァルドッコで宣教の十字架を受け取ることなく、異なる状況の中で派遣されて行ったことを私たちは知っています。私はサレジアン・シスターズ宣教女の人数を知りませんが、彼女たちも数千人になるはずです。この事実を前に、ドン・ボスコが望んだ2つの修道会の宣教的カリスマを疑うことはできるでしょうか? いいえ、疑いをさしはさむ余地はありません。私たちは若者、世界中の少年少女、その中でもとりわけ貧しく困っている青少年のための修道者です。それだけでなく、私たちを必要とするあらゆる地での宣教師、福音を伝える者として誕生したのです。

 9月にヴァルドッコで十字架を受け取った私たちの兄弟姉妹は、求められているところならどこへでも赴くイエスの宣教師として、このことをよく知っています。

 この確信によって、この6年近くの間に私が世界中で出会った宣教師であるサレジオ会の兄弟、サレジアン・シスターズの姉妹の多くの顔と名前が私の心に浮んできます。彼らはつねに五大陸の最も貧しく謙遜な人びとの只中にいます。つねに生活を共にし、学び、自分の持っているものと与えることのできるものを捧げています。彼らは言葉で、さらに多くの場合は言葉を使わずにイエスを宣べ伝えます。自由に話すことができないからで、生き方をもって、手本となるあかしをもって、日々の生活の中で単純に静かに福音を生きることによって、イエスを宣べ伝えているのです。

 信仰のために30年ないし40年以上さまざまな所の刑務所に入れられていた兄弟姉妹に出会いました。先住民と共に自らのすべてを分け与えて生涯を生きて来た兄弟姉妹にも会いました。後に信仰のために殉教し、理不尽で不当な死を遂げることになった兄弟たちにも会いました。最近、ブルキナファソで殺された2人のスペイン人サレジオ会宣教師セサル・アントニオ・フェルナンデス神父とフェルナンド・エルナンデス神父のように。

 これらの兄弟姉妹は皆、今日、ドン・ボスコの大いなる宣教の夢をかなえてきた、その夢を実現させ続けている宣教師なのです。この夢は生き続けると私は確信しています。あえて言いましょう。ドン・ボスコのカリスマをもってイエスとイエスの福音に忠実なら、この夢は始まったばかりだと。

 私たちの兄弟姉妹は今日、アメリカ大陸全土、アマゾン、アンデス山脈、アフリカ、東ヨーロッパ、モンゴル、ネパールそしてアジアの多くの場所で宣教し続けています。今もなお私たちは、ドン・ボスコの息子たち、娘たちの派遣を求める願いを世界中から受け取っています。

 私は実に多くの信徒友人の皆さんの寛大な心に対する感謝をもって今月の言葉を締めくくりたいと思います。皆さんは現代の教会と世界で小さな砂粒ほどの貢献をしようとする私たちサレジオ家族を信頼し続けてくださいます。皆さんの愛情、共感、最も貧しい人々のために私たちが必要とするときの惜しみない助けにお礼を申し上げます。私たちは共に、より多くの人のもとへ、より遠くへと出かけていくことができるでしょう。よき神が皆さんを祝福してくださいますように。

愛をこめて

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》