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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

総長メッセージ10月:ヴァルドッコから全世界へ


総長メッセージ(”Bollettino Salesiano” 2020年10月)

ヴァルドッコから全世界へ

FROM VALDOCCO TO THE WHOLE WORLD

 

今日は皆さんを招待します。いらっしゃい!ヴァルドッコを知ってください。周りを眺めて、この場所を体験するのです。じっとして、「壁が話す」ことに耳を傾けましょう。「ヴァルドッコでは何もかもが話すのです」から……ここを改装するときに起ったことは、壁や部屋を作り直すだけではありません。夢がいのちを得たのです。

すべては160年前に始まりました。正確に言えばその数年前に、師であるドン・ボスコを愛する青年、少年たちの小さなグループが、ある「会」、「サレジオの聖フランシスコ信心会」を誕生させるため、約束を立てました。この小さな集まりは新たな修道会となり、今日では「ドン・ボスコのサレジオ会」と呼ばれています。

そのグループが集まる何年も前に、ドン・ボスコは「ピナルディ」の所有地と小屋にやって来ました。彼はそこの2区画の土地を借り、最初の常設のサレジオ会オラトリオはここで始まりました。彼のかけがえのない事業が始まったのはこの目立たず地味な場所でした。厩(うまや)で貧しさの極みのうちに、母、ナザレのマリアの愛に満ちた抱擁と謙遜な浄配聖ヨゼフだけを頼りとして生れた私たちの主の模範に、彼は倣ったのでした。

 

過去のように今日も

もうすぐ2020年10月2日~4日に、私たちは人々と共に数日前に実現した「夢」を祝うことになっています。ピナルディの土地を私たちに「語りかける」場所にするという美しい夢です。ここを改装するときに起ったことは、壁や部屋が作り直されたというだけではありません。夢がいのちを得たのです。最初のサレジオ会オラトリオのあった所、ヴァルドッコを、サレジオのカリスマを語る空間、場所、遊び場へと変えようという夢です。ここピナルディ小屋こそが、マンマ・マルゲリータの台所の扉をノックした最初の孤児たちが迎え入れられ、サレジオ修道会が生れた場所なのです。私たちのカリスマといのちに満ちあふれる場です。

今日は皆さんを招待します。いらっしゃい! ヴァルドッコを知ってください。周りを眺めて、この場所を体験するのです。そこにたたずみ、「壁が話す」ことに耳を傾けましょう。「ヴァルドッコでは何もかもが語るのです」から。

何百人もの青年と少年、何十人ものサレジオ会員がドン・ボスコのそばで生活し、「聖性の学び舎」である家庭で真の家族となったこの家に来てください。

何百人もの若者たちを迎え入れ、ここでの生活体験によって彼らの生き方を変え、彼らが「善良なキリスト者、誠実な市民」となるのを助け続けてきたこの場所を知ってください。

ちょうど福音書で語られている小さな種のように、今日世界中に枝を広げるみずみずしく健やかな緑の木‐ドン・ボスコのサレジオ家族‐となった木の、最初の芽を見たこの場所を眺めて回ってください。

福音宣教と教育の情熱にあふれる一人の若い司祭がどのようにして少年たちに燃える思いを吹き込み、その少年たちがどのようにその夢を継承したのかを体験してください。彼らこそが最初のサレジオ会員として修道会を継続させ、ドン・ボスコの後継者となり、彼の宣教の夢を実現させたのです。まずはパタゴニア、さらにアメリカ大陸の国々にで、そして今日134の国において。

この家で、かつてはマンマ・マルゲリータの菜園でもあったこの中庭でじっとして、耳を傾けてください。ここには困難やひもじさの混ざり合った生活や喜びがありました。誰もが聖人になることを願っていました。このほんのわずかな土地から、13人が尊者や福者、聖人に列せられました。聖霊によって、「ヴァルドッコの人々が生きた聖性」の種をまかれ、かれらは成長しました。私たちの愛するドン・ボスコは少年たちに気高く美しい理想を指し示す術に長けた師でした。

ここ‐このピナルディの所有地‐で、ほんの数名を取り上げるなら、ドン・ボスコ、マンマ・マルゲリータ、ドメニコ・サヴィオ、ミケーレ・ルア、フィリッポ・リナルディ、ルイジ・ヴァリアラそしてレオナルド・ムリアルドが暮らし、歩き、働き、祈り、遊びに興じました。数多くの人たちがこの土地を歩きました。あまりに大勢だったので、この家も土地も広げなくてはなりませんでした。もっと大きな教会が必要になりました。たちまち少年たちは500人を超えたからです。人々はすぐに小さい教会‐ピナルディ聖堂やサレジオの聖フランシスコ教会‐からあふれてしまいました。この土地で彼らは聖性の道を歩みました。この道の先で、私たちはヴァルドッコ全体をマントで覆っておられる天上の母のご保護のもと、扶助者聖マリアの美しい大聖堂の影の中にたたずみます。

今日、すべての人々に訪問され、知られるようにと私たちが紹介するこの家は、現在も未来も、誰にとっても意味深い体験の場となるでしょう。

〇サレジオの世界について何一つ知らない観光客。たとえ表面的な理解しか得られないにせよ、この場所で無から何かしら偉大なものが生じたことを知るでしょう。

〇私たちのカリスマをよく知り、愛し、実践し、心に抱いている人々。手で触れ、目で見、心で知るのです‐この壁の中から、神がどのようにしてすばらしいわざを世界の若者たちのために生み出したのかを。

今日、その中でサレジオのカリスマが生れ成熟し、そこから世界全体へと広がった、その壁に囲まれたこの場所は、時代を超えて普遍的遺産の場であり続けるために整備され、保存されています。

この家、これらの聖堂、この中庭からドン・ボスコは世界中に手を差し伸べ続けてゆくことでしょう。私たちの母である扶助者聖マリアを通して偉大なことを成し遂げて来られた主に会うため、世界中から人々がヴァルドッコにやって来るでしょう。ドン・ボスコ、マンマ・マルゲリータ、また多くの人々と一緒に「すべてをなさったのは聖母」であり、これからもすべてを成し続けてくださるのです。ヴァルドッコの精神は、今も生き生きと息づいているのです。

私たちは単なる美しい壁以上のものを提供します。

展示資料館、美術作品、歴史的記憶以上のものを。

私たちは皆さんに心地よい友情、出会い、訪問を提供したいと思っています。ここを歩いた人々によって聖化された場所をじっと眺める時、皆さんの心と人生は感動で満たされることでしょう。

ヴァルドッコより全世界へ。

 

サレジオ会総長 アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父

《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》


■Museo Casa Don Boscoの紹介ビデオは下のリンクからご覧いただけます。

(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=x_s0j0HgmPo

(イタリア語)
https://www.youtube.com/watch?v=cBSJHiSy-8c