総長メッセージ「人生を賛美しましょう!」
総長メッセージ(2017年9月)
アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父
人生を賛美しましょう!
すべての新しい始まりはまっさらなページです。それは人生の地平線に無限の可能性を示してくれます。この信じがたいほどの贈り物を私たちは時間と呼ぶのです。
地球上の多くの場所では9月は学校の新学期にあたり、これに合わせて多くの家族は日々の過し方を決めています。それ以外の場所では、生活のリズムは今まで通りです。新年が暦の中心であり、ものごとの節目だからです。しかしながら、いずれの場合でも多くの可能性が私たちに差し出されます。私たちは新しい日を迎えること、健康に恵まれていること、人生には様々な可能性があることをきわめて自然なこととして考えています。けれども、いつもそうではありませんし、誰にとってもこれがあてはまるわけではないのです。
時間、もしくは人の一生 -時間はその尺度になります- は、無限の可能性、人間関係、経験を包み込んでいます。
少し前のことですが、私は80代のあるブラザーと話をしました。彼は情熱をこめて生きることを私に勧めてくれました。ちょうどレモンやブドウからジュースを作るときのように、人生からできる限りのものを搾り取るようにと言うのです。彼は知性においても学術的にも信仰の面においてもすぐれた養成を受けてきた人です。絶えずあちらこちらを飛び回り、満足を得るために闇雲に探し回る - そういう狂気の沙汰のような人生を送れというのではありません。自分の人生、いのち、主から受け取ったこの真の賜物を積極的に自分のものにし、全身全霊で打ち込むことを示唆したのです。
それでは、時間とその可能性について私が思いつくことを書いてみます。毎朝、個人の口座に86400ドル(1日は86400秒)を加える銀行があるとしましょう。この風変わりな銀行は毎晩、その日に使われずに残ったお金を帳消しにしてしまいます。私たちの誰もがその銀行に口座を持っています。ではその銀行の名前は? そう、「時間」と言うのです。
この銀行は毎日新しい資金を足しますが、その日残った分はすべて帳消しにします。残金が繰り越されることは決してありません。1日で全額を使い切らないと、残りは損失になります。取り戻すことはできません。
明日、手に入る収入を当てにしてクレジットカードを使うことはできないのです。今日の資金で現在を生きなくてはなりません。 そこで-
♦1年の価値を理解するためには、留年してしまった学生に聞いてみましょう。
♦1ヶ月の価値を理解するためには、早産してしまったお母さんに聞いてみましょう。
♦1週間の価値を理解するためには、週刊誌の編集長に聞いてみましょう。
♦1時間の価値を理解するためには、会うのが待ち遠しい恋人たちに聞いてみましょう。
♦1分間の価値を理解するためには、1分の差で飛行機や汽車に乗り遅れた人に聞いてみましょう。
♦1秒間の価値を理解するためには、1秒の差で危うく事故を免れた人に聞いてみましょう。
♦千分の1秒の価値を理解するためには、僅差で金メダルを勝ち取ったオリンピックの選手に聞いてみましょう。
時間の価値とはそういうものです。 私たちは人生の一瞬一瞬を大切にすることを、お互いのためにも願うべきです。特に親しい人々と時を分ち合い、彼らに自分の時間を捧げることによって、時間という宝物をもっと大事に過しましょう。
決して忘れてはいけません。光陰矢のごとし。私たち信仰者にとって、さらに重要なのは、時間は手段に過ぎず、分ち合うために与えられた人生こそがかけがえのない贈りものであり、分ち合うことにより私たちは本当に幸せになれるということです。
読者の皆さん、人生を過ぎ去るままにせず、ありきたりの生き方もやめましょう。私たちを取り囲む美しいもの、驚くほど素晴らしいものを満喫し、人生を存分に過す経験をしたなら、時として私たちに重くのしかかる困難も受けとめるなら、その挑戦は生きる情熱となるのです。
皆さんの幸せを願って。
《翻訳:サレジアニ・コオペラトーリ 佐藤栄利子》