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サレジオ会 日本管区 Salesians of Don Bosco

ナイジェリア テロリスト集団の脅威のなかで


 

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 (ANS – 2015年11月6日 ナイジェリア・コンタゴラ) 

http://www.infoans.org/2.asp?sez=2&doc=13668&lingua=2

 

 ドン・ボスコが生まれて200年、ドン・ボスコの弟子たちは今も、最も必要とされる場所で学校を建てている。11月初旬、ナイジェリア北西に位置するコンタゴラで、新しい学校が開校した。子どもたちの教育の機会のない広大な砂漠地帯、原理主義グループが支配し、キリスト教への非寛容の著しい地域である。

 この大いなる冒険は、知識と経験、そして人生から最もわずかなものしか得ていない人々を助けたいという情熱に根ざしている。西アフリカ英語圏管区のホルヘ・クリサフリ管区長は語る。「サレジオ会は1982年にナイジェリアに入り、技術訓練校、オラトリオ、ユースセンター、教会、チャペルを開いてきました。」これらの事業はすべて、キリスト教が多数派を占める国の南西部、南東部にある。2008年に、コンタゴラ使徒座代牧区長が「ナイジェリア北部で教育と司牧の活動を行ってほしいという美しい手紙をくださいました」。これは私たちに投げかけられた挑戦、フランシスコ教皇の望む、辺縁へ行くようにという呼びかけだった。

 2014年10月、ようやく新しい支部がコンタゴラの町ココに開かれた。マドリッドの宣教事務局の支援を受け、ブルス・ダウワ・ヨハナ使徒座代牧区長より、24の村を含む範囲の小教区を任された。3人のサレジオ会員が、「非常に貧しい地元の人々と共に、人々のために働くため、司牧活動と技術訓練校の開設に必要なあらゆる準備を行うため」派遣された。3人はナイジェリア南部出身、「別世界に来たように感じる」という。忍耐強い歩みの中、新たに地元の言語も習得しなければならない。

 現在、3人は地域を巡回、村々を訪れ、人々との関係を築いている。町に支部を開設する前に、3人は地元の首長(イスラム教徒の政治的リーダー)をあいさつに訪れた。自分たちについて、ドン・ボスコについて説明し、国内にすでにいくつか技術訓練校を開いていると話すと、首長は目を輝かせ、「まさに私たちが必要としているもの。若者たちは職業訓練の機会がなく、仕事につけずにいる」と語った。こうして、事業のために必要なだけ土地を使ってよいという許しを得た。クリサフリ神父は情熱を込めて語る。「ドン・ボスコのスタイルでの技術教育、職業訓練は、少なくともここでは、西側世界とイスラム世界の間の重要な対話の拠点となりえます。」

 今日、キリスト教はナイジェリア社会で尊重されているものの、政治的な敵対の空気がある。地域共同体のリーダーにとどまるためカテキスタがイスラム教への改宗を強要される事態が生じるなど、キリスト教の宣教、信心の活動は著しく制限されている。それでもなお、イエスを知らせることは可能だという。「農村部の人々は、イスラム教徒でもキリスト教徒でもありません。福音を伝えることは可能で、実際、この新しい生き方を、人々は心を開いて受け入れてくれます。キリスト教によって尊厳を擁護される女性たちは特にそうです。」

 サレジオ会の前に絶えず立ちはだかるのは、原理主義によるテロの脅威。「これらのグループは主に北東部で活動していますが、緊張はどこにいても感じられます」とクリサフリ神父は言う。教会の周りに塀を設置し、交代で警備を行う安全委員会も立ち上げたが、リスクは絶えずある。サレジオ会がコンタゴラに来て2週間後、町で最初のテロ攻撃があった。爆発物を身に付けた少女が学校の入口で自爆、2人の警備員が犠牲となった。

 しかしクリサフリ神父は、希望を持ち続け、自由を建設する歩みに参加しなければならないと言う。「ナイジェリアは大きな可能性を秘めた眠れる巨人と言われます。誰かがこの巨人の目を覚まさせなければならず、政府だけではこの奇跡は起こせません。ナイジェリア人の一致が必要です。さまざまなグループ、諸教会、さまざまな組織、NGOが一つになり、ナイジェリアが再び目を覚ます奇跡を起こさなければならないのです。」