祈り、人の役に立つ喜びを大切に
静岡サレジオ
幼稚園・小学校・中高一貫教育学校・高等学校(静岡県静岡市)
ドン・ボスコが日本を駆け巡った2011年2月。富士山を仰ぐ静岡の地でも、盛大な全校ミサが執り行われました。ひびきわたる天使のような子どもたちの歌声に、ドン・ボスコもきっとほほえんだことでしょう。「夢に見た富士山のふもとでも、わたしの心が生き続けている」と。
幼小中高生が遊び・学び・祈りの空間を共有
終戦後間もない1947年、静岡サレジオは駿府城のお堀端から現在の草薙の地に移転し、その7年後に現在の学園の基本型となる幼小中高の4校種からなる総合学園となりました。以来、家庭的雰囲気の中で、校訓の「誠実・勤勉」をモットーに教育活動に励んでいます。
幼小中高が同じ敷地にあると、こんな光景が。中高体育祭では小学生や幼稚園児がグラウンド脇で黄色い声援を送り、クリスマス会では幼稚園児が演じる聖劇を観賞した中高生がその純粋さに心洗われ、幼稚園の預かり保育ではボランティア体験で顔見知りになった中高生が園児の人気者として活躍しています。遊び・学び・祈りの空間を共有しながら、千名を超える発達段階の異なる児童・生徒たちが、日々幅広くかかわり合っています。
祈りとボランティア活動
本校は祈りを大事にしています。職員朝礼・職員会議、生徒朝礼・終礼、宗教の授業、大きな行事などは必ず祈りで始める伝統があります。年間を通じて聖母祭、ロザリオの祈り、慰霊の集い、創立記念ミサとクリスマスの集い、ドン・ボスコの集い、卒業を控えた高校3年生の静修の日などの宗教行事があります。このような機会をとおして、謙虚な心、感謝する心が浸透していきます。
人の役に立つ喜びを体験できるボランティア活動も奨励しています。暑中見舞いやクリスマスカードを作って近隣の高齢者施設に届けたり、あしなが募金活動に参加したり、フィリピンへ海外ボランティアに出掛けたりなど、精力的に活動しています。
カトリック学校で学ぶ人材を世界へ
静岡サレジオは新たな挑戦の一歩として、上智大学との教育提携を始めました。幼稚園から大学まで、一貫してカトリック学校に学び、その精神を身につけ、宗教教育を土台に論理・表現・コミュニケーション力を伸ばし、国際貢献できる人材を育成することを目標に、上智大学への特別推薦枠が2012年度入学者より設定されます。
静岡サレジオ小中高校はこれに伴い、従来の6─3─3型の教育システムから、4─4─4制(前期・中期・後期制)へと移行します。「前期」(小1~小4)では、学びの基礎・基本と学習習慣、人を思いやる心を育みます。発達上多くの壁にぶつかる「中期」(小5~中2)では、学習や諸活動で成功体験を積み重ねながら、自分を大事にし、仲間を思いやり、人のために奉仕できる環境を整え、対人関係の悩みなどを乗り越えていけるように教職員はチームワークを密に生徒を支えます。「後期」(中3~高3)では、心身の安定感と落ちついた学級風土の中で学業に集中し、個性に見合った進路達成と自己実現をアシストします。
現代の若者たちに、希望とビジョンを
時のしるしに敏感だったドン・ボスコは、この新たな挑戦をとおして現代社会に生きる若者のニーズに応えていけるよう、きっと応援してくださるでしょう。子どもたちは物心がつく前から携帯電話やインターネットに囲まれ、家庭、学校、社会をめぐる状況は大きく変貌しています。不安と無気力の闇に揺れる若者たちに、どんな希望や明るいビジョンを育めるか、静岡サレジオの挑戦は始まったばかりです。
(文・写真/静岡サレジオ提供)
静岡サレジオ(幼稚園・小学校 中高一貫教育学校・高等学校)
静岡県静岡市清水区中之郷3-2-1
www.ssalesio.ac.jp/
(ドン・ボスコの風No.8 2012年1月掲載)