ドン・ボスコの心が息づく“日本のヴァルドッコ”
カトリック別府教会・ユースセンター(大分県別府市末広町)
90年で5千人以上の信徒が誕生
1926年2月、サレジオ会のチマッティ神父を団長とする6人の司祭と3人の修道士からなる最初の宣教師たちが、初めて日本の地を踏みました。その翌年、タンギー神父が大分市を拠点にして別府市へ定期的に通い、宣教を開始。1931年12月9日にカトリック大分教会から独立して、別府小教区が始まりました。当時は周囲の無理解や反対など多くの困難があったようですが、次第に軌道に乗り、日曜学校の活動も活発になっていきました。
サレジオ会員がこの別府の地で働き始めて90年。戦争など多くの困難を経ながらも、歴代の司祭たちの苦労、信徒の熱意、修道女たちの多大な協力を得てカトリック別府教会は発展してきました。現在の信徒数は約750人です。別府教会が始まってから今までに、5千人以上の信徒が誕生しました。また、溝部脩司教を始め、数多くの司祭、修道者の召命の恵みがあったこともこの教会の特徴です。
病者の訪問に力を入れる「福祉の教会」
カトリック別府教会は、サレジオ会が担当している教会です。サレジオ会の思い出が残る教会で、大分司教の司牧指針に従いつつ、サレジオ的な伝統も大切にしています。
別府教会は「福祉の教会」とも言えます。別府は病者の街で、温泉治療のため多くの病人が全国から集まってきます。教会はそれを念頭に置き、病者訪問などの活動にも力を入れています。司祭は毎週必ず2~3回、病者の訪問を行います。毎週金曜日には信徒のグループが訪問します。
もう1つの特徴は、国際的であることです。別府市には立命館アジア太平洋大学(APU)があり、そこに通う60~100人の若い外国人学生の信徒のために英語と韓国語のミサがあります。自分たちでイベントを企画し、日曜のミサ、クリスマス、復活祭を大切にしています。
熱があっても行きたいユースセンター
ユースセンターは、とてもいきいきとしています。併設されている海の星幼稚園と同じように、地域の人びとへの大切な宣教の場です。メンバーは海の星幼稚園の卒園生が大部分ですが、子どもたちが学校の友達も連れてくるようになり、現在130人の小学生たちが登録しています。土曜日の昼過ぎになると子どもたちが次々とやってきて、硬筆、英会話、茶道の3つのクラブに参加したり、バスケットボール、サッカー、バドミントン、卓球、工作や手芸など、好きな遊びをみつけて友達とのびのびと遊びます。
4時からの最後の30分は、学年ごとに別れて「イエス様の話」を聞きます。この時間は、ユースセンターが最も大切にしているひと時です。みことばの種をまくことで、幼稚園で芽生えた宗教心が育ち、成長していきます。
スタッフは司祭2人、シスター8人(サレジアン・シスターズとイエスのカリタス修道女会)、サレジアニ・コオペラトーリ会員2人、別府教会の信徒の皆さん、そしてユースセンターのOBやOGの中高生たちです。13歳から85歳まで、老いも若きも皆が子どもたちのために自分にできる協力をしながらユースセンターを盛り上げています。
「学校は少しの風邪でも休みたがるのに、ユースセンターには熱があっても行きたがるんですよ。本当にユースセンターが大好きなんです」と保護者の方が話してくれました。
サレジオ会日本宣教90周年。別府教会は“日本のヴァルドッコ(トリノにあるサレジオ会事業の発祥地)”として、サレジオ会日本管区の草創期からドン・ボスコの精神を生き続けてきました。ユースセンターはドン・ボスコが大切にしていた事業であり、サレジオの原点とも言えます。ドン・ボスコの心を、この別府の地で受け継いでいきたいと思っています。
(文・写真/カトリック別府教会・ユースセンター提供)
カトリック別府教会・ユースセンター
大分県別府市末広町1-14
www.ctb.ne.jp/~catbek
(ドン・ボスコの風No.17 2016年7月掲載)