喜びのある学校 ─ いつも子どもたちと共に ─
目黒星美学園小学校(東京都目黒区碑文谷)
1954年に開設されました。隣接するサレジオ幼稚園の教室を仮校舎としてのスタートでした。今年の1年生は61期生です。祈りに始まり、祈りに終わる学校生活の中でも、教師と子どもたちは一緒になって始業前や放課後の時間にグラウンドや体育館で遊んでいる姿があります。子どもたちと教師の距離が近いと言われますが、それはドン・ボスコの教えた“アシステンツァ(共にいる)”を生きようと努めているからではないでしょうか。
喜びのある学校
ドン・ボスコの教育の根幹であり、聖書に基づいた「喜び」を大切にしています。子どもたちが多様な「喜び」を感じられるように、特に“4つの喜び”を意識しています。
1 神と人に愛され・愛する喜び
週2時間の宗教の授業を基盤として、学習・生活、子どもたちのすべての活動を通して、各々が神様から愛されている存在であること、キリスト教的な愛、道徳的な価値観を育み、すべての命の尊さを学び、豊かな心を培うようにしています。
また、様々な宗教行事を“徳の花(神様への愛の行い、人のためになる良い行いや小さな犠牲など)”によって準備し、いただいた恵みに感謝し、心を耕す教育活動に取り組んでいます。
ドン・ボスコが大切にした家族的精神による教育とは、一人ひとりを認め、愛されていると感じさせること。その体験を通して子どもたちは成長していきます。
2 分かった・できた喜び
学習の基礎基本を大切にしながら言語活動を充実する授業を心がけています。聞き合い、考え合う授業を通して、友だちと共に学びを深め合います。このようなベーシックな授業のあり方だけでなく、校内にWi-Fiを完備し、各教室でアイパッド・ミニを使っての授業も展開しています。言語活動の充実のため、日常からコミュニケーション力を意識し、外部講師によるマナー教室を実施しています。専科教員による授業に加え、ゲストティーチャーによる授業も行っています。ハンガリー音楽家のコダーイの指導法による声楽の授業や箏曲、クラフトの授業など、専門家の卒業生が講師として指導を行っています。
3 共に活動する喜び
みんなで協力しながら受け入れる喜び、受け入れられる幸せを感じて活動しています。特に大切にしていることは合宿です。1年生は、防災の訓練も兼ねて学校で宿泊合宿をします。2年生から4年生は年1回、5年生以上は年2回の3泊4日の合宿をしています。自然の中で神様と友だち、自分と向き合う体験は、日々の生活の糧となり子どもたちを成長させます。
運動会や音楽会などでは、友だちや他学年と心を一つにして力を合わせていくことで「一人ではできないことを成し遂げられる」という喜びの体験を積み重ねて、ともに成長していきます。4年生以上の希望者が行う課外の聖歌隊やオーケストラ活動も他学年との交流の絶好の場です。本校の教員だけでなく、卒業生などが指導にあたり、より充実した活動となっています。
4 与える喜び
自分の力を誰かのために惜しみなく使うこと。これが本当の喜び。喜びは、分かち合い、更なる喜びの広がりに繋がります。
月に一度、「まごころ献金」を行っています。子どもたちが小さな我慢を捧げて、国内外の援助を必要としている方々のところに届けています。金額の大きさだけなく、連帯も意識して呼びかけています。
また、毎年カンボジアの友だちに手作りの道具袋と文房具類を送る「愛のポシェット」活動を行っています。さらに学期に一度のおにぎり献金はカンボジアの子どもたちの教育基金になっています。
聖母マリアの小さな使徒会(Piccoli Apostoli di Maria)はPAMと呼ばれ、福祉施設の訪問や宗教行事の協力、発表、まごころ献金の呼びかけなど喜んで人に奉仕する心を育んでいます。
子どもたちは力を秘めた豊かな土地です。神様からいただいたそれぞれの資質や能力の素晴らしさに気づき、自信と喜びをもって活動することができるなら、子どもたちの未来は明るく開け、豊かな実を結ぶことでしょう。良いこと、美しいこと、真なることへと子どもたちを向かわせるために「いつも子どもたちと共に」生活をしています。
(文・写真/目黒星美学園小学校提供)
目黒星美学園小学校
東京都目黒区碑文谷2-17-6
www.meguroseibisho.ed.jp/
(ドン・ボスコの風No.13 2014年7月掲載)